アメリカ最新情勢

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前回の記事投稿の際に1月8日に発生しました、イランのテヘラン郊外の空港から離陸したウクライナ航空のアンカレッジ経由ソウル行きの旅客機が墜落事故を起こした件についてテロとの関連性を示唆する物的証拠もなく単なる航空機事故と断定する内容の記事を執筆してしまいましたが、事件直後から関係各国が事故原因を共同調査した結果、イラン革命防衛隊の地対空ミサイル誤射が航空機墜落の原因であることが判明しました。私としましても完全な誤報を深くお詫び申し上げます。当初はイラン側は、乗客の手荷物として事故機に持ち込まれた爆弾が空中爆発したのが墜落原因と正式発表しました。その後の事故原因を究明していたカナダなどがイラン軍による撃墜事件と断定してイラン政府に事故原因の訂正を要求していました。イラン側も、ロウハニ大統領がアメリカの爆撃機あるいは有志連合の戦闘機と誤認した上でのロシア製Su-151TM迎撃ミサイルによる撃墜事件であることを正式に認め犠牲となった乗客176人全員の死亡とウクライナ航空に謝罪してできる範囲内での補償を同時に約束しました。今回の撃墜事故が既に関係各国の外交交渉によって収束に向かっている最大の要因が犠牲者の大半がイラン系カナダ人で冬休みを祖国イランで過ごした後に移住先のカナダに帰国するのに搭乗した民間機での事故であった事実が揚げられています。欧米人や西側連盟国に犠牲者がほとんど報告されていないのが不幸中の幸いだったのかもしれません。イラン革命軍は大勢の同胞を撃墜殺害した結果となり、イラン国内でも事故原因を偽装していたイラン政府の責任を追及するデモ活動がイラン各地で勃発しています。

民間航空機の軍用機による撃墜事故として想起されるのが、1983年9月1日の大韓航空ボーイング747が当時のソビエト連邦の領空侵犯に端を発したミグ戦闘機による撃墜事件でしょう。ソビエト政府は自国内で事故機の機体が発見されていないと言い逃れに終始しましたが、事故機の操縦室と空港官制官との会話内容を記録した傍受テープが公開されて、撃墜の可能性が高まり、事故原因を追究する西側諸国に屈して、領空侵犯されたのが民間機ではなくて軍用偵察機と事実誤認して撃墜命令が発令されたことを正式謝罪しています。一時は一触即発ムードになりましたが、粘り強い外交交渉により難局を克服して軍事衝突には到りませんでした。

今回もイラン政府が公約した遺族補償が早期に実施されることを要望します。