アメリカ最新情勢

アメリカの最新の経済・政治・社会情勢を解説して参ります

アメリカ最新情勢

本日限りで、ホワイトハウスを立ち去るトランプ前大統領ですが、アメリカ国民に向けた惜別の最後の挨拶、19分余のスピーチの全体像がマスコミに公開されました。スピーチは、my fellow American(同胞のアメリカ人)に始まり、政治家お決まりの台詞、

God bless you America(神のご加護を)で締めくくられました。スピーチの要旨は、まずは就任以来の4年間に政治活動に没頭できたのは、何よりもアメリカ国民、マイク・

ペンス副大統領や閣僚、身辺を護衛してくれたシークレットサービスや緊急時に出動命令を発令した、エアフォースワン等の軍事組織、ファーストレディのメラニア夫人、娘のイバンカや息子のジャレットの身内にも様々な支援を有難うと謝辞を述べました。

看板政策のアメリカ第一主義が功を奏して、アメリカ国土の安全を維持できた実績を回想しつつ、ウラン濃縮凍結などのIAEA決議を無視してアメリカへの敵対姿勢を崩さないイランのソレイマニ司令官のアメリカ空軍の爆撃による殺害計画が見事に成功して

イランの軍部を弱体化させた功績も披露しています。一度は、大統領権限(特権)でイラン核攻撃を指示しつつも数時間後に核攻撃を撤回して軍事拠点のみを攻撃対象とする作戦に切り替えた決断で、アメリカ・イラン間の本格的戦闘を回避できたといっても過言では無いでしょうか。Middle East(中近東)という単語を何度も繰り返した背景には

キリスト・カトリック教徒の聖地であるばかりでは無くてイスラム教の聖地でもある、

エルサレムにアメリカ大使館を移転させた現代の最大の同盟国かもしれないイスラエルの存亡も念頭にあったのかもしれません。

アメリカ国内を分断させてきた民族問題・移民問題に関しては、一転して、マイノリティのアフリカ系移民、ヒスパニック移民、アジア系移民との民族融和を提唱しました。

得意分野の経済政策につきましては、TPPなどの経済共同体を次々に脱退して、貿易不均衡が表面化している相手国には高率の報復関税を導入して不買運動を展開して参りましたが、新NAFTAを隣国のメキシコ・カナダと締結してより強固な経済関係を構築して欲しいとの次期政権への期待も滲ませたコメントもありました。

バイデン新政権の就任式後に、アメリカ議会上院で二度目の弾劾訴追された弾劾裁判の採決が予定されていますが、民主党と共和党の議席数が拮抗していますし、退任した大統領の罷免には意味がない為に、形式的な儀式に終わる事が確実視されています。弾劾裁判で二度裁かれる初の大統領となった不名誉で元気がないのかとの印象もありますが

実際は、共和党幹部から次期大統領選挙の不出馬を説得されてモチベーションが低下してしまったような、観念したような口調や仕草に、かつての威勢の良さは影を潜めた寂しい雰囲気の惜別の挨拶となってしまいました。しかし、アメリカのコミュニティには

前途洋々の未来が待ち受けていると断言しています。

最後の最後まで、民主党新政権やバイデン新大統領という固有名詞を封印した背景には

強大な権力を持つ大統領職への未練があったのではないでしょうか?

 

 

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