アメリカ最新情勢

アメリカの最新の経済・政治・社会情勢を解説して参ります

アメリカ最新情勢

 

久々の投稿となります。筆者には当面は休日は無さそうです。

ところで、最近のアメリカメディアでは、アフガニスタン情勢一色の報道態勢となっています。バイデン政権は、米軍が撤退中のアフガニスタンで、テロ組織のタリバンが

アフガニスタン全土をほぼ掌握して、新政権樹立を宣言した状況を見据えても、本年度

のアメリカ同時多発テロ発生から丸20年の9月11日迄に米軍が完全撤収する計画に変更が無い事をホワイトハウス会見場で明言しています。

武装テロ集団タリバンが破竹の勢いで、アフガニスタン主要都市を制圧した段階で、国民を見捨てたガニ前大統領は、専用機で隣国のUAE(アラブ首長国連邦)に国外脱出しています。タリバンの報復を警戒するアフガニスタン国民は、一刻も早期の国外退去を思案して、離陸直前の米軍やNATO軍の軍用機にしがみついてでも国外脱出しようという人々が連日、事故死しています。筆者にとっても、米軍撤退計画の影響下で弱体化した武装組織タリバンが息を吹く返した現実に唖然としています。米軍を中心に組織された駐留多国籍軍がアフガニスタンの平穏化にそんなにも貢献していた事実が証明された事になりますが、意外過ぎる結末に筆者の価値観も一変しました。日本に置き換えますと、神奈川県・東京都・沖縄県等に展開する米軍基地の存在が、北朝鮮の核ミサイル攻撃や中国の軍事進攻が現実化しないのは、米軍基地のお陰という様に読み取ることもできます。主に敗戦国との理由から自国の本格的な軍隊を創設できない日本にとっては、米軍軍事施設は不可欠という結論にどうしてもなってしまいます。

タリバンは表面上は、戦況を悪化させる意志の無いというコメントを発信していますが

タリバンの実質的No.2のバラダル師と前ガニ政権下で和平プロセスを担当して来たアブドラ氏が、近日中にカンダハルで今後のアフガニスタン統治のあり方についての協議を予定しています。ガニ前大統領の国外脱出劇は、国家の統治者としては完全な失格の烙印を押されていますが、それもその筈で、これまで支援してきた欧米諸国も一斉に非難しています。大統領職にあった人物であれば、全国民の安全を確認してから、国外退去すべきでした。その一方で前政権の第一副大統領でありましたサレー氏は自身が暫定大統領であることを宣言しています。政府軍にタリバンとの徹底抗戦を呼びかけてはいますが、士気低迷気味の政府軍が呼応する可能性は極めて低いかと想像されます。

タリバンは、米軍やNATO軍に協力したアフガニスタン人の割り出しに既に乗り出しておりますので、懲罰の対象となった国民は、粛清される悲劇が現実化しそうな模様です

武装テロリスト集団の幹部や構成員の大半はアフガニスタン人ではありませんので、新政権を承認しているのは中国のみとなっています。欧米諸国や日本等の西側同盟国が同様にタリバン政権を中国に追随して承認することにはならない見込みです。今後は、国際連合の常任理事国の協議で、アフガニスタンへの何らかの介入がある公算が高いのですが、前代未聞のテロリスト政権との折衝を見通す事は困難です。タリバンは海外メディアも標的にしていますので(実際にドイツの報道関係者の家族が射殺されたりもしています)、先進国はアフガニスタンに尚も残留する国民の退避に躍起になっています。

 

 

 

 

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