アメリカ最新情勢

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アメリカ最新情勢

先日のNATO北大西洋条約機構)は、第二次世界大戦後の新冷戦時代の幕開けにより

ソビエト連邦やその同盟国を仮想敵国と見なした相互安全保障条約を基盤とする西側軍事同盟です。北米とヨーローパ諸国から構成されていますが、ノルウェースウェーデンは非加盟国です。先日のNATO首脳会議の最大の議題は、軍事費をGDPの2%に設定することを提唱したアメリカと未達のドイツ・フランスとの対立です。軍事費を平等に負担するアメリカの立場と国内世論に配慮する独仏は会議終盤まで歩み寄りできずにアメリカは不服として共同記者会見をキャンセルしてトランプ大統領は帰国の途に着きました。NATOの亀裂がロシアを利するという警戒論もあります。実際にロシアは米露中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受けて欧州全体を標的とするINFを再配備する姿勢を見せています。あるいは、西側資本主義陣営の結束が緩んだ瞬間を捉えて実際にロシアはクリミア半島を再併合しています。今回のNATOの主要議題のひとつとして中国のファーウェー問題がありました。アメリカは安全保障上の理由からファーウェーを米国市場から締め出す方向性を明確にしていますが、反対に欧州諸国には次世代通信規格5Gを推進する目的でファーウェー社製品を採用する方針です。米欧間には明らかに温度差があります。同盟国のトルコやシリア情勢を巡っても対立点は解消せずに、結局は

北米と欧州の足並の乱れが浮き彫りになりました。因みに、NATOに対抗するロシア陣営には1955年に発足したワルシャワ条約機構という軍事同盟が存在していますが、東欧諸国の中にも旧東独やポーランドなどは既に脱退しています。

フロリダ州ペンサコーラにあるアメリカ海軍基地で訓練中であったサウジアラビア軍兵士による銃器発砲事件が現地時間の6日午後10時前後に発生致しました。テロ事件との有力情報はなく事件の背景は解明されていませんが少なくとも3名の犠牲者が出た模様です。サウジアラビアは勿論、イスラエルを除く最大の同盟国でありますので動機の解明が待たれるでしょう。共和党政権に来年2020年大統領選までに銃器規制法案が提出される見込みはありませんので、民主党は今回の外国人兵士による発砲事件を論争のひとつにするように提起することになるかもしれません。