アメリカ最新情勢

アメリカの最新の経済・政治・社会情勢を解説して参ります

①フランス南西部ビアリッツで開催された今年のサミットG7会議。日米間の最大の懸案事項は米国農産物に高関税を課税して国内農業を保護してきた日本の食糧事情が改善するかどうかでした。アメリカは中国と相互に高関税を発動する貿易戦争に突入しており最大の輸入国中国の代替輸出先として日本が有力視されています。米国産牛肉につきましては従来38.5%から米国が離脱したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)で適用されている9%と同水準に2033年4月をメドに発効させる予定で今後の調整が予定されています。ライトハイザー米通商代表部代表(USTR)は70億ドル以上の市場開放を日本に要求しています。トランプ政権は米国産牛肉の関税引き下げを政権運営の成果として来年11月の大統領選挙に向けてアピールしています。

②トランプ政権は中南米のメキシコ・コスタリカエルサルバドル等のヒスパニック系諸国からの不法移民をこれ以上増加させない目的で国境の防壁を建設して費用負担をメキシコに全額負担に承諾するようにとの立場です。ヒスパニック系の流入に依り麻薬の密輸をする反社会的勢力が暗躍しているのは周知の事実ですが、アメリカ・メキシコ国境3145kmの内の930kmに物理的な防壁が完成した模様です。メキシコは費用負担に反発しています。違法犯罪の撲滅の為にニューメキシコアリゾナ・テキサスには防壁が存在します。物理的防壁とは別にセンサーや監視カメラによる仮想フェンスも構築されて米国国境警備隊が24時間体制でモニタリングしています。

③南米のアマゾンで発生した森林火災が深刻な状況になっている。熱帯雨林であるアマゾンでは、本来なら火災は早い段階で沈静化するはずだった。それがなぜ、いまこうして燃え広がっているのか。背後には、人間による農地開発によって森林が乾燥し、植生が変化し、焼き畑が加速するという“必然”ともいえる恐るべきメカニズムが存在していた。先日はブラジルの周辺国にも火災被害にも拡大した為にボリビアの現職大統領が消火作戦に参加してアマゾンのジャングルで一時行方不明となる珍事も発生しました。

④ジョンソン&ジョンソンは1887年に米国ニューブランズウィックニュージャージー)で操業開始した家庭用のバンドエイド綿棒、ベビーオイルから医療機関で使用する医療機器、薬剤、薬、コンタクトレンズアキュビューなどを製造販売している超名門企業です。直近30年では10%成長を持続しています。設立の目的は家庭用・医療用の高品質なヘルスケア製品を提供して健康をサポートするのを使命としています。ところが名門企業にも落とし穴が発覚しました。米オクラホマ州地方裁判所は26日、処方鎮痛剤などに含まれる麻薬性鎮痛薬オピオイドの中毒蔓延(まんえん)をめぐり、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンンソン(J&J)に5億7200万ドル(約606億円)の制裁金を支払うよう命じた。同社は上告しましたが見通しは不透明です。

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FRB(米連邦準備理事会)は、本来はアメリカ大統領からは圧力を受けることが無いような中立的な立場を約束されていました。ところが女性のイエレン議長から元弁護士の現パウエル議長に代替わりしてからトランプ大統領は、自分の中心的な支持層である白人労働者を引き止める為にFRBに利下げ圧力を公然とかけ始めています。FRBの判断はアメリカ労働情勢や消費支出の好調さから度々利下げを見送った経緯があります。ただし世界中の地政学リスクが噴出したり入手した経済指標の悪化などから政策運営のかじ取りに苦悩する局面となりました。その結果9月17日~18日のFOMC連邦公開市場委員会)では、2008年12月のリーマンショック時やサブプライムローンの焦げ付きが表面化して以来、実に10年7カ月振りに政策金利を0.25%引き下げて、2.00%~2.25%のレンジに設定する様になることが確実視されています。勿論、FRBも昨今の米中貿易摩擦の激化や世界経済に減速のシグナルがあること等を総合的に加味しての金利動向です。

グリーランドを割譲するようにトランプ大統領デンマークのメッテフレデリクセン首相に詰め寄っています。今回のグリーンランドの買収提案は突拍子もない非現実的な提案なのでしょうか?トランプ大統領グリーンランドが戦略的に大変興味深いと感想を述べていますが真実は何処にあるのでしょうか?グリーンランドは面積では日本の5.7倍の広大なデンマーク自治領ですが、油田やレアアース(世界最大規模の鉱床)が発見されていますが地下資源の採掘は極めて困難との見方が大勢を占めております。アメリカの飛び地領土にはアラスカ、ハワイ、サモアプエルトリコ自治領、サイパン等がありますが、アラスカ準州(当時)は、1867年3月30日に国務大臣ウィリアム・H・スワードがカナダ北西部にあるアラスカをクリミア戦争の真っ只中にあり軍事資金を調達したかった帝政ロシアと思惑が一致して720万ドルで金銭買収しています。全米で面積が最大で人口密度は反対に最少です。人口は約71万人でその約半数が航空業界の経由地であるアンカレッジ都市圏に集中しています。グリーンランドに戻りますと有史以前はエスキモーとインディアンの居住地でしたが豊富な地下資源とロシアを念頭に米国防上、重要な役割を果たすとの見立てがあります。先行きはどうなるでしょうか?

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CNN/USAやFox newsなどでも、最近、バハマ諸島で発生したtropical storm(熱帯低気圧)が急速に発達して、hurricane(ハリケーン)Dorianとなりました。アメリカではハリケーンの風速が33-42m/s換算でcategory1,風速70m/s換算でcategory5と認定されます。規模に応じてカテゴリー1~5に分類されます。今後はフロリダ半島付近に上陸予定です。ハリケーンとして命名されるのは、大西洋北部・大西洋南部・太平洋北東部・太平洋北中部の海域で発生した温帯低気圧に限定されます。気象統計上、アメリカに上陸したハリケーンで最も勢力が猛烈だったのは2005年度のWilma(ウイルマ)とされています。最低気圧は実に882hpaを記録致しました。ただ日本で一番鮮明なハリケーンといえば、Katrina(カトリーナ)でしょうか?海上で記録された最低気圧は902hpaでした。カトリーナバハマ南東沖で発生してkey west(フロリダ)に上陸して甚大な被害をもたらしました。ニューオリンズルイジアナ)に再上陸して猛威を発揮しました。ニューオリンズ市街が完全に冠水して人々や自動車が立ち往生している場面が日本でも報道されました。死者は全米で1335名、経済的損失は1080億ドルと見込まれています。巨大ハリケーンは,great hurricaneと総称されるようです。尚、1979年以降は、性差別是正の為に、ハリケーンには男女のパーソナルネームが交互に使用されています。それ以前は、女性名がハリケーンを識別する道具としていて女性名一辺倒でした。

一方でTornado(竜巻)は、発達した積乱雲で上昇気流を伴う高速の渦巻きが発生してそれが地上付近まで伸びた気象事象と定義されます。発生メカニズムはほとんど解明されておらず、文献に拠っては世界の8割の竜巻はアメリカ本土で発生する(年間1000個前後)と指摘されていますが、南アジア

フィリピン、ニュージーランド、オーストラリア南部・東部、カナダ、メキシコ、南アメリカ大陸東部でも頻繁に報告例があります。アメリカ以外で発生した竜巻はカメラで追跡したりする気象学上の整備が遅々として進まないからであるだけと一般的にアメリカ国内では分析されています。

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主要7カ国首脳会議(G7サミット)が現地時間24日午後(日本時間25日未明)にフランス・ビアリッツで開幕致しました。今年のサミットの主催国はご存知の通り、フランス(マクロン首相)ですが、会議全体を主導するのは、超大国アメリカです。今回の

サミットでアメリカが重要視している項目を簡潔に私なりに整理してみます。まずは

アマゾンで大規模な森林火災が発生して環境問題がクロ-ズアップされていますが、

アメリカはCo2の先進国の排出量を規制するパリ協定(以前の京都議定書)から脱退

しております。今回のサミットでどの程度、議題に採用されるかは不透明ですが注目

点として指摘させていただきます。今回のサミットでの最重要議題は、アメリカと

中国間の貿易戦争(trade war)に象徴される貿易不均衡問題でることは間違いの無い事実です。アメリカはAPECから離脱しており、貿易不均衡は二国間で協議するという立場です。米中両国は相互に報復関税の応酬となっておりますが高関税は輸入インフレを

誘発するばかりでもなく経済活動停滞に直結するのは周知の事実です。もしもアメリ

の意図する通り中国からの輸入額が減少すればアメリカは代替品を第三国から輸出しなければなりません。日本も中国市場が縮小すれば、自動車電子部品の中国向輸出において悪影響は回避できません。最近のアメリカ金融市場では長短金利の逆転現象が起きており、順調な経済成長を数年間持続してきたアメリカにとっても景気後退のシグナルとの観測が重要視されています。1929年のアメリカ発の株価大暴落・金融大恐慌発生時の

経済指標と類似点が指摘されておりフランスサミットの最重要課題となりそうな雲行き

です。またイランがホルムズ海峡を通過する石油タンカーを拿捕・攻撃したことへの報復としてアメリカが提唱する有志連合への参加・不参加も焦点のひとつに浮上して参り

ました。北朝鮮弾道ミサイル日本海に向けての頻発する発射実験も議題になりそうです。またアメリカでは最近でもテキサス州エルパソオハイオ州デイトンで銃乱射

事件が勃発しています。他にもサウスベンドやシャーロッツビルなどの地方都市でも

大量殺人を招いた銃乱射事件が報告されています。メキシコに代表される中南米諸国からの不法移民問題と銃乱射事件は無縁ではありません。銃器規制問題がサミットでも議題になう可能性もあります。また今後の銃器購入の際の身元確認などもサミットだけではなく来年11月のアメリカ次期大統領選挙の最大の争点となりそうです。今回は本当に

最初の私の投稿でしたのでサミットの概要だけに留めますが次回からは個別の国際問題

アメリカの見地から問題提起して参ります。末長く何卒よろしくお願い申し上げます